ヒヨコから育てた鶏たちが大きくなり、いよいよ大人の群れに合流する時。
それは養鶏をしていて最もワクワクする瞬間であり、同時に最も神経をすり減らす「試練の1ヶ月」の始まりでもあります。
「自然の中で自由にさせたい」
そう思って裏庭に放した結果、起きてしまった悲しい事故もありました。
この記事では、僕が100羽計画を進める中で直面した「イジメ」「脱走」「神隠し」という3つの壁と、そこから学んだ対策について包み隠さずお話しします。
試練1:大人の洗礼(イジメ)と餌戦争

新入りの中雛(若鶏)を大人の鶏舎に入れると、必ず起きるのが「洗礼(イジメ)」です。
特に激しいのが食事の時間。餌をめぐって、大人たちが新入りを執拗につつき回します。
対策:人間バリケード作戦
真正面からぶつかれば、体の小さい中雛は負けて餌を食べられなくなってしまいます。
そこで僕がとっている対策は、「広範囲バラ撒き」と「えこひいき」です。
- 広範囲にバラ撒く
餌を一箇所にまとめず、わざと広くばら撒きます。これで大人たちの意識を分散させます。 - 自分の足元に中雛を集める
ここがポイントです。ヒヨコから育てた子は、僕がしゃがむと肩に飛んでくるくらい懐いています。
逆に、以前頂いた「廃鶏(成鶏)」たちは全然懐かず、抱っこすら嫌がります。
この差を利用して、懐いている中雛たちを自分の足元に集めて餌をやり、近づいてくるいじめっ子の大人たちを僕が追い払う。
まさに「人間バリケード」です。
この「馴染む期間」は、体が大きくなるまで約1ヶ月続きます。
根気はいりますが、弱い子を守るためには必要な時間です。
試練2:合流の儀式と「3日間の軟禁」
いきなり混ぜるとパニックになるので、合流には手順があります。
- 夜の密航
鶏たちが寝静まった夜、こっそりと新入りを鶏舎に入れます。 - 3日間の軟禁
合流してから3日間は、絶対に外(裏庭)には出しません。
鶏舎の中で過ごさせることで、「ここが君たちの新しい巣だよ、寝る場所だよ」と記憶させるためです。
これをしないと、夕方になっても帰る場所がわからず、外で迷子になってしまいます。
試練3:裏庭の「神隠し」と番犬の限界
3日間の軟禁を終え、いよいよ裏庭デビュー。
簡易的な柵網で囲ったエリアに放牧するのですが、ここで最大のトラブルが起きます。
「死角」への脱走
ネズミや猫が、簡易的な網を食い破って穴を開けてしまうことがあります。
体が小さい中雛は、そのわずかな穴から外へ脱走してしまうのです。
そして悲しいことに、脱走した先が「番犬(縄文柴犬)のリードが届かない範囲」だと、悲劇が起きます。
頼れる番犬、でも届かない
我が家の縄文柴犬(メス)は、最高の番犬です。
野生動物には「狩りに行くかのような勢い」で吠えかかりますし、見知らぬ人にもしっかり吠えます(よく見る人だとすぐ止める賢さもあります)。
しかし、繋がれている以上、守れる範囲には限界があります。
リードの届かないエリアに出てしまった中雛は、無防備そのもの。
夕暮れの捜索
「一羽足りない」
夕方、数を数えて青ざめることがあります。
暗くなる前に必死で柵の周りを探しますが、見つからないことも。
運良く翌朝鶏舎の周りにうずくまっていることもあれば、無残にも猫や野生動物にやられてしまっていることもありました。
自分の管理不足を悔やむ瞬間です。
まとめ:失敗を乗り越えて「要塞」を作る
自然の中で育てるということは、常に死と隣り合わせだということです。
だからこそ、人間ができる対策は徹底しなければなりません。
🐓 我が家の防衛ルール
- 餌やりは人間が盾になり、弱い子を守る。
- 合流時は「3日間の記憶付け」を徹底する。
- 網の点検は毎日。小さな穴も見逃さない。
- 犬は頼りになるが、最後は人間が守る。
失敗して、網を補修して、また工夫する。
その繰り返しで、我が家の敷地内は少しずつ「安全な要塞」へと進化しています。
100羽計画への道のりは、この地道なイタチごっこ(文字通りのイタチも含め)との戦いなのです。


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